平成十七年の新春を迎え謹んでお慶び申し上げます。旧年中は当協会の事業に格別のご支援を賜り、心より御礼申し上げます。
昨年を振り返りますと、世界では混迷を深めるイラク情勢や各地で多発するテロ、日本国内では多発する凶悪犯罪、台風や地震などの自然災害など、まことに多事多難な年でありました。一方、日本経済は緩やかな景気回復が続くなか、上場企業の9月中間決算は製造業を中心に軒並み好決算を記録し、民間の設備投資や個人消費も着実に増加致しておりました。また、夏の猛暑は、飲料業界やアイスクリーム業界にとりまして、格好の追い風となりました。
しかしながら原油価格の急騰と、これに起因する石化製品など原材料価格の値上げ、円高の進行等により、先行きの懸念材料もまた多く見受けられるようになりました。また、乳業界では夏場の猛暑にも関わらず、飲用乳の消費が伸びず、依然高いレベルの脱脂粉乳在庫が大きな問題になっていると伺っております。
さて、昨年当協会は正副会長、事務局の交替とともに、協会事務所を九段の乳業会館内に移し、新たな体制で出発いたしました。大変未熟な者ばかりで、不慣れな環境の中の出発でございましたが、お蔭様で前任の浅野会長をはじめ諸先輩のご指導と、会員各位の熱心なご協力を賜り、引き続きつつがなく事業活動を展開することができました。
昨年の事業活動と致しましては、技術分科会活動では四月に「乳等のPETボトルの自主基準」を改訂することができました。その後も各技術分科会では今後の自主基準の見直しなど新たな課題に向けて、討議や勉強会を行っております。また昨年は自主基準のバックデータ収集のため、各種分析を外部機関に委託実施致しました。各委員会では行政当局や関連団体の諸先生のご指導を仰ぎながら、乳等省令の解釈などに関する論議を進めております。
さらに、昨年から3ヵ年の計画で、国立医薬品食品衛生研究所の河村先生を主任研究者として、厚生労働科学研究「食品用器具・容器包装及び乳幼児用玩具の安全性確保に関する研究」がスタートしましたが、当協会はこの研究の六つの分担研究のうち、「乳等用器具・容器包装の規格基準に関する研究」と、「紙製器具・容器包装の安全性確保に関する研究」の二つの研究に、研究協力者として参画することになりました。食の安全、安心の追求のために、是非実りある研究のお手伝いを致したいと念願しております。
本年、当協会は、厚生労働省のご指導を得て、四月を目標に社団法人日本乳機器協会との統合を目指すことになりました。当協会は乳等の容器包装、一方の日本乳機器協会は乳等の機械器具の分野を専門としておりますが、お互いに主務官庁を同じくすることと、乳業事業を側面から支え、ひいては国民の保健衛生に寄与するという理念は共通であります。近年乳等の容器包装は内容物の多様化、包装の高機能化・多様化、製造技術の高度化・効率化への対応を求められております。とりわけ新たな食品衛生管理手法としてのHACCPシステムの導入や製品のESL化に代表される技術革新は、これまでの容器包装という枠組みだけでは解決し得ない多くの問題を提起致しました。新たな問題の解決のためにも、当協会の乳等の容器包装の分野と、日本乳機器協会の乳等の製造に用いる機械器具分野との協力は不可欠であり、今回の統合はまことに時宜にかなったものと申せます。
当協会は日本乳機器協会との統合により、「衛生、及び品質の向上」という、協会設立の基本理念を一層推し進め、いままで以上に乳業界の皆様や消費者の皆様のお役に立てる協会に生まれ変われるものと確信しております。
最後に、行政当局、乳業界、関係諸団体、会員各位におかれましては、本年も何卒旧に倍するご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様のご健勝とご多幸をご祈念申し上げまして、新年のご挨拶とさせていただきます。