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安全衛生の新たな動きへの対応

顧問 青島 靖次

対応 -1-

前号の定款変更申請(事務所移転)に関して追記しておきたい。

平成六年六月二十九日、協会は、昭和三十六年十二月四日設立以来の定款に定める主たる事務所所在地を東京都豊島区から東京都町田市木曽町二三一一番地に移転する定款変更を厚生大臣に申請した。八月一日付で許可が下り、移転日を同年九月一日として登記を完了した。この年、当時会長会社だった株式会社尚山堂は創立百周年にあたり、町田市に建設していた新工場が完成した。協会はその一角に事務所を置くことになったのである。

さて平成六年から七年は食品関連業界にとっては転換期となる年であった。

牛乳は昭和四十三年七月三十日に、それまでの販売曜日表示から製造年月日表示制度に改められていた。それが、平成六年十二月二十七日の食品衛生法施行規則および乳及び乳製品の成分規格等に関する省令「乳等省令」の一部が改正により、製造年月日表示から期限表示(消費期限、品質保持期限の二種)に移行することになったのである。この改正は平成七年四月一日から施行されるが、平成九年三月三十一日までの二年間は移行期間として製造年月日表示だけでの販売が認められることになった。

この改正は以下の経緯であった。厚生省は、平成四年十二月に【食品の日付表示に関する検討会】を設置し、製造団体、消費者団体等から意見を聞き、平成五年十一月に報告書をまとめた。この報告を踏まえ、翌十二月には食品衛生調査会に「食品の日付表示を期限表示とすることについて」諮問を行った。食品衛生調査会は、食品規格部会及び乳肉水産食品部会の合同部会により審議を行い、平成六年四月十一日、「製造年月日表示から期限表示に移行するのが適当である」とする旨の報告をまとめた。その後、ガット通報を行い平成六年九月十二日に食品衛生調査会常任委員会を開き、食品の日付表示には、製造、加工技術の進歩等を踏まえ、品質保持に係わる情報としては、製造年月日よりも期限そのものの表示(期限表示)をおこなうことが有用であり、食品の劣化速度に応じた「消費期限」と「品質保持期限」という二種類の期限表示を導入することが適当であると答申した。これにより食品衛生法施行規則および乳及び乳製品の成分規格等に関する省令「乳等省令」が改正されたわけである。

期限表示の種類
期限表示は、腐敗、変敗やそれに伴う変化など衛生上の危害の発生を防止する観点から、食品の製造後、飲食に供しても衛生上の問題が生じない期間や品質が保たれる期間が終わる時期を示すものである。 この終期を過ぎた場合、品質が急速に劣化しやすい食品と、数日で腐ったりせず比較的劣化の緩慢な食品とでは、衛生上の危害が発生する可能性に差があるため、これらを明らかにするため、二種類の期限表示が導入された。

消費期限
定められた方法により保存した場合において、腐敗、変敗その他の食品等の劣化に伴う衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期限を示す年月日をいうとした。 品質保持期限 定められた方法により保存した場合において、食品等のすべての品質の保持が十分に可能であると認められる期限を示す年月日をいうとした。

期限を設定する者
食品の劣化速度は、原材料の衛生状態、製造、加工時の衛生管理状態、保存方法等の諸要素により左右されるので、表示される期限の設定は当該食品等に関する知識や情報を有している者が設定すべきもので、基本的には、製造または加工を行う営業者が行うこととしている。また、輸入食品などについては、基本的には、輸入業者が行うこととした。

期限の設定方法
食品の特性等に応じて微生物試験や理化学試験および官能検査の結果に基づき科学的、合理的に行うこととされている。 なお、品質保持期限の設定は、食品等の製造後、定められた方法により保存した場合において腐敗、変敗、その他の食品等の劣化に伴う衛生上の危害が発生するおそれがないと認められる期間の終期より、十分に余裕を持って行う必要がある。

保存方法の記載
期限表示は、定められた方法により保存することを前提としているので、従前の保存基準が定められている以外の食品等についても、保存の方法を表示することになる。
保存方法の表示は、食品の流通や、家庭等において可能な保存方法等をよく考慮したうえで具体的に適切な保存方法を記載する必要がある。
食品衛生法施行規則および「乳等省令」の改正内容は以上の通りだが、乳業界は検討審議を重ねた結果、全国牛乳協会会長名で当協会会長宛に以下の協力の文書による要請があった。

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平成7年3月16日

(社)全国乳栓容器協会
会長 浅野 勉殿

(社)全国牛乳協会
会長 中山 悠

日付表示制度改正に伴う対応について  

時下、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。また、日頃から当協会事業の推進につき格別のご理解を賜り厚くお礼申しあげます。  
さて、すでにご承知のとおり、平成6年12月27日食品衛生法に基づく乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年厚生省令第52号)の一部が改正され、牛乳等の日付表示が現行の製造年月日等の表示に代えて品質保持が可能な期限の表示(以下、「期限表示」という。)を行うことに改められ、本年4月1日から施行されることになりました。
当協会といたしましても、新しい日付表示制度への切替えのための諸準備を進めてきたところですが、この度、下記のとおりその対応について取りまとめ、傘下会員に通知したところです。  
つきましては、貴職におかれましても特段のご理解を賜りますとともに、貴傘下会員への情報の提供方ご配意を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

1 対象
「乳等省令」に規定する牛乳、特別牛乳、部分脱脂乳、脱脂乳、加工乳及び乳飲料としたこと。
2 期限表示の類型(用語)
「消費期限」及び「品質保持期限」の二種類としたこと。
3 期限表示の設定
「牛乳等の日付表示(期限表示)設定のためのガイドライン」により、製品ごとに、微生物等を指標とする保存試験を実施し、その結果に基づき、期限の類型及び期限を科学的、合理的に設定するとしたこと。 また、期限設定後の適正度の確認保存試験を四半期ごとに実施し、これらの記録は1年間保存することとしたこと。
4 製造年月日等の表示   
今回の改正の趣旨を踏まえ、義務付けられた新 たな日図付表示への切り替えが円滑に行われるようその周知につとめることとし、製造年月日等の表示は行わないこと。
5 表示期限の標準   
期限表示の設定は、前記3、により行うことと したが、品質保持期限を表示する牛乳等につい て、調査データに基づき次のとおり標準的期限を示すこととした。
対象;品質保持期限を表示する製品
@ 常温保存可能品:製造日を含めて60日
A その手の製品:製造日を含めて9日
6 期限表示への切替え   
流通市場における混乱を避けるため、標準的切 替え期日を示すこととしたこと。   
標準的切替え期日  平成7年11月1日

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これに対し当協会は、平成七年三月二十七日に理事会を開いて、慎重に審議を重ね、乳業界の一員として、要請に沿うように最善の努力をすべきであるとの結論のもと、下記の回答文書をまとめた。

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平成7年4月26日

(社)全国牛乳協会
会長 中山 悠殿

(社)全国乳栓容器協会
理事長 浅野 勉

拝啓 春暖の候、益々ご清栄の段慶賀に存じます。 常日頃より当協会事業にご理解を賜り厚くお礼申しあげます。
さて、平成7年3月16日付「日付表示制度改正に伴う対応について」の貴協会通知を拝受致しました。
当協会として早速全会員に貴意を伝達致し、その対応について種々協議いたしましたところ、出来得る限り標準的切替え期日に向けて努力することに一致致しましたが、下記について貴協会傘下の乳業メーカー各位のご協力がえられなければ物理的に困難な面もあり得るとの結論に達しました。
つきましては、貴協会傘下の乳業メーカー各位に対しまして宜しくご配慮を賜りますよう、くれぐれもよろしくお願い申しあげます。

敬具

1. 標準的切替え期日に紙容器・牛乳キャップ等(以下容器等という)を間に合わせるためには新表示への改版及びこれらの製造に要する期日も考慮のうえ当該期日以前、十分な時間的余裕をもってその具体的な改版内容を当協会会員にご提示いただきたいこと。
特に標準的切替え期日前には、旧表示と新表示 の容器等を同時並行して製造することになり、現状の製造能力をはるかに超える増産等が必要になりますことをご賢察下さるようお願いいたします。
2. 前記のようなことから標準的切替え期日の運用については特段のご配慮を賜りますようお願いいたします。

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以上のような(社)全国牛乳協会と当協会の打ち合わせを踏まえ、理事長名を以って、当会会員に「日付表示制度改正に伴う対応について」として通知を行った。

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今回平成6年12月27日、乳等省令の一部が改正され、牛乳等の日付表示が製造年月日から期限表示となり、平成7年4月1日から施行されることになりました。
当協会として、新表示制度への切替えについて関係業界の動向を注視して、適切に対応して行く所存ですが、(社)全国牛乳協会においては、期限表示への標準的切替え期日を本年11月1日と定め、傘下会員への周知徹底を図っているところであります。ついては、この対応につき、理事会において協議しましたところ、当面次の通り対応することに致しましたので、会員各位には十分配慮の上遺憾のなきようよろしくお願い致します。

@ 会員各位においては、取引先乳業メーカーと緊密な連絡をとり、具体的改版内容を速やかに入手し、標準的切替え期日に間に合うよう紙容器、牛乳キャップ等の製造等に努められますようにしていただきたい。
A 標準的切替え期日の運用についは、特段の御配慮を願うよう(社)全国牛乳協会に要望しております。

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これらについて当時は全国飲用牛乳公正取引協議会の「公正競争規約」・「同規約施行規則」の変更に伴う表示については、同協議会よりの、「飲用乳の期限表示の対応について」と「乳等省令改正内容」をと、間違いのないよう注意しながら会員に疎漏の無いよう周知徹底をするために大変苦労した二年間であったと記憶している。

対応 -2-

平成七年五月二十四日に食品衛生法等の一部を改正する法律が公布され、総合衛生管理製造過程(製造または加工の方法およびその管理の方法について、食品衛生上の危害の発生を防止するための措置が総合的に講じられた製造または加工の過程をいう。以下同じ。)による食品の製造の承認制度が創設された。

 乳業界は、総合衛生管理製造過程導入について関係機関とともに勉強会を開催する等をして周知徹底を行ったが当協会も平成八年七月十日、厚生省担当官を招き、総合衛生管理製造過程(HACCPシステム)導入について、乳、乳製品の容器包装の衛生管理についての研究会を開催した。その席上では以下のような説明があった。

【1】HACCPとは
Hazard analysis critical control pointの頭文字をとったもので、日本では一般に、危害分析・重要管理点と訳されている。
食品の製造業者は、食品が安全であることを確認するために、最終製品についてロットごとに微生物等の検査を実施しており、その結果が判明してから製品を出荷している。この方法においては、食品が安全であることの信頼性をたかめるためにロットごとのサンプル数をふやす必要があるが、同時に検査にかかるコストが増大することや、検査しなかった製品の安全を必ずしも保証するものではないことなどから限界がある。
そこで、新しい食品の衛生管理の方法としてHACCPが注目され、HACCPは、最終製品の検査に重点を置いた衛生管理の方法とは異なり、食品の安全性について危害を予測し、危害を管理することのできるCCP(重要管理点)を設定し、重点的に管理する方法である。
@食品の製造・加工工程において、原材料から製造、加工の工程、保管に至るすべての工程で発生するおそれのある微生物等の危害を調査・解析(Hazard analysis:HA)し、Aこの分析の結果にもとづいて製造工程のどの段階でどのような対策を講ずれば、より安全性が確保された製品を得ることができるかという重要管理点(critical control point:CCP)をさだめ、Bこれが遵守されているかどうかを集中的かつ常時モニターし、Cさらに、その管理内容をすべて記録することにより、製造工程全般を通じて製品の安全確保をはかるという、危害の発生の予防措置に重点をおいた方法である。

【2】HACCPの導入状況
HACCPによる食品の衛生管理の方法は、一九六〇年代に開始された米国の宇宙開発計(アポロ計画)において宇宙食の高度な安全性を保証するシステムとして開発されたものである。その後米国食品医薬局(FDA)がこのHACCPの考え方を取り入れたが、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)が合同で設立したFAO/WHO合同食品規格委員会において、一九九三年に、HACCPを食品製造に適用するためのガイドラインが策定されたことから、HACCPによる衛生管理の手法が国際的に推奨され、米国のみならず他の主要国においても導入が推進されたものである。
このHACCPによる食品の衛生管理の方法が導入されることにより、食品の安全性について国際的な信頼性が高まることはもちろんのこと、食品製造の多様化に対応した衛生管理の実施、一貫した合理的な衛生管理による検査経費の節減、行政による監視の効果的、効率化、資源の有効利用が期待されている。

【3】わが国におけるHACCPの導入
わが国では、食品の製造または加工の方法については、食品衛生法の規定に基づき、厚生大臣が公衆衛生上の見地から、販売の用に供する食品の製造・加工の方法について基準を定めることができるとされ、食肉製品、乳製品、清涼飲料水等について一律の基準を設けてあり、基準に合わない方法による食品の製造等を禁止している。   
平成七年五月二十四日に食品衛生法の一部を改正する法律が公布され、総合衛生管理製造過程(製造または加工の方法についておよびその管理の方法について、食品衛生上の危害の発生を防止するための措置が総合的に講じられた製造または加工の過程をいう。以下同じ。)による食品の製造の承認制度が創設された。
この制度は、食品企業がみずから作成した総合衛生管理製造過程による食品の製造方法について、厚生大臣が個別に承認した場合には、先の食品衛生法に基づく製造方法の基準によらず、承認された製造方法により多様な食品を製造または加工することを可としたものである。十一月二十日厚生省は、この制度の対象食品およびその承認基準を策定するため、平成七年十一月六日付けで、厚生大臣より食品衛生調査会に諮問した。十一月二十日、食品衛生調査会乳肉水産食品部会で審議した結果、翌二十一日に同部会より、本制度の対象食品を乳、乳製品および食肉製品とすることが適当であることが報告された。また、その承認基準については、原材料および製造工程における食品衛生上の危害を考慮し、HACCPの手順に従って、施設設備、製造の方法および衛生管理の方法に応じて作成したHACCPシステムの実施計画について承認すること、さらに、この制度を実施するために、考慮すべき危害を評価した結果、最終製品の衛生確保に必須の危害および当該危害を適切な防止措置により管理する目標が定められたことが報告された。その後、十二月にWTOに通報し、加盟各国から意見を聴取したのち、平成八年三月に食品衛生調査会の答申を受けて、政令および厚生省令を改正、同年五月二十四日に施行した。

この承認基準の内容については、申請しようとする食品について発生するおそれのある食品衛生上の危害を考慮し、HACCPシステム適用のための手順に従って施設設備、製造および衛生管理の方法を定めて、それを実施することが求められている、そのおもな事項は以下のとおりである

(1) 危害原因物質と危害発生の防止措置承認を受けようとする製品につき発生する恐れのあるすべての危害について、その原因となる物質とその発生の防止措置を製造工程別に明らかにすること。

(2) 重要管理点
(1)で定めた措置のうち、その実施状況の連続的または相当の頻度で確認を必要とするものを定め、その確認の方法を定めること。

(3) 改善措置の方法
重要管理点での確認により、その措置が適切でないと認めた場合の改善措置の方法を定めること。

(4) 一般衛生管理の方法      
総合衛生管理製造過程を適切におこなうために必要な施設設備の保守点検、そ族、昆虫等の防除、従事者の衛生教育等の方法を定めること。

(5) 検証の方法
総合衛生管理製造過程が適切に機能しているかを検証する方法を定めること。

(6) 記録の方法
次の事項について記録の方法、その保存方法および期間を定めること。
@ 重要管理点における確認 A改善措置 B一般衛生管理 C検証

(7) 重要管理点における措置および確認が適切になされていることの点検記録等の業務を行う者が選任されていること。

(8) 検証において製品等の試験等の業務を行う者が選任されていること。  

これを受けて協会は、平成八年七月三十一日、HACCPシステム研究会を設置し、日本テトラパック永島道夫氏を座長として「HACCPシステム導入に伴う容器包装に関する諸問題について」審議対応を協議することとし同年九月二十五日、十月十五日、開催の研究会で、基本的に現在の自主基準は生かし、自主基準の解説、実施マニュアル、チェックシートなどのようなもので対応することとした。
厚生省は平成八年九月三十日、厚生省生活衛生局長名で都道府県知事あてに「総合衛生管理製造過程に係わる承認について」(衛乳第223号)で総合衛生管理製造過程承認実施要領に基づく承認の制度の適切な運用方について、を通達した。また、厚生省生活衛生局乳肉衛生課長は同年十月三十一日に関係団体に対して、本制度の導入を円滑に進めるため、総合衛生管理製造過程の承認制度に関する説明会を開催した。  
当会研究会は、同年十一月七日、十二月十六日審議を重ね、「HACCPのための乳、乳製品の容器包装の衛生管理」対応について、以下の原案をまとめた。

「HACCPのための乳、乳製品の容器包装の 衛生管理」対応について

製造物責任法の施行、食品衛生法の改正による総合衛生管理製造過程制度の導入等に対応し、乳等の紙容器に関しても一層の衛生管理が必要とされる趨勢にあります。
当協会は既に「乳等の紙容器に関する自主基準」(平成6年9月)を制定し関係各社は当基準にもとづき品質・衛生管理に努めておりますが、さらに当基準の遵守をより確実にすることがHACCPのための容器包装供給側の衛生管理の対応になり得ると考えます。
即ち、当自主基準にもとづき定期的に実施する建物・設備・製造工程等の自主点検で確認する項目については、チェックシートの如き条項ごとの点検方法にて製造現場等の一層の衛生管理の徹底とその記録の確実な保存が図られますよう関係会員各社に期待致します。
点検の基準、方法については、それぞれの会員各社で実施されている方法でお願い致します。
なお、当該自主基準に規定する品質確認試験(蛍光物質、PCB、一般生菌、大腸菌群、抗接着剤)の結果の記録保存は従来通り確実に実施されますよう併せて希望致します。
また、チェックシートは、「乳等の紙容器に関する自主基準」自主点検チェックリストを参照頂きたいと存じます。

平成九年一月二十四開催の理事会で上記原案について審議し、理事全員の承認を得たことを会員に下記の通り連絡した。

会員各位              

平成9年2月3日
(社)全国乳栓容器協会
理事長 浅 野 勉

HACCPのための乳等容器包装の衛生管理対応について

当協会では会員各位のご協力により、昨年7月よりHACCPシステム研究会を設置し、「HACCPのための乳、乳製品の容器包装の衛生管理」対応について研究検討を重ねて参りましたが、昨年12月に研究会として結論を得ました。これを本年1月24日開催の理事会にて、審議し原案通り承認致しましたので、ご連絡申し上げます。
現在、乳業メーカーでは総合衛生管理製造過程(HACCPシステムを導入)の承認をうるための準備を進めているところが多いと聞き及んでおりますので、容器包装を製造されている会員にありましては、この衛生管理対応の趣旨をご理解の上遺憾のないよう対応されますよう、また、会員各位がこの趣旨の体制を各社内に徹底されて安全な容器包装を供給されるよう切にお願い申し上げます。

他方各乳業メーカーからは、HACCP承認申請の提出が十月にも予定されており、承認取得を計画しているメーカーから納入される容器包装等についても原材料納入の際の各ロットの検査合格票などの要求があり協会としても統一した対応を乳業メーカーに要望するために、以下の対応の骨子を協会理事長名で各乳業関連団体に提案することになった。

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当協会所属の各容器包装メーカーは長年衛生性のある乳等容器包装を製造し、乳業メーカー各社にご使用いただいております。各ロットの品質・衛生性の保証に関しては、
1、各容器包装メーカーと各乳業メーカー間で取り交わしております[品質規格書・基準]などに合致しております。
2、当協会制定の「乳等の紙容器に関する自主基準」「乳等のガラス瓶用の紙のふたに関する自主基準」に基づき品質・衛生管理に努めて製造しておりますこと、をご勘案いただきたく、よろしくご高配のほどお願い申し上げます。  各ロットの容器包装の検査合格品である証明方法については検査合格のスタンプを検討等の提案を行った。

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また、当時の(社)全国牛乳協会の常務理事より「総合衛生管理製造過程の承認を受けた製品に係る表示のガイドラインについて」の中に承認マークを作りたいので、協力してほしいとの要請があった。協会は(株)尚山堂にそのデザインを数点依頼してその中から一点が決定された。
A 一般用(20o以内)  *図A
B 小型容器用(表示面積が小さい場合) *図B

平成十年三月には上記の承認マークを含めて(社)全国牛乳協会、(社)日本アイスクリーム協会、(社)はっ酵乳乳酸菌飲料協会、(社)日本乳製品協会の四団体からなる「総合衛生管理製造過程の承認を受けた製品に係る表示のガイドラインについて」が設定され、承認を受けた製品に係る適正な表示の確保を図ることとした。
以上が日本における総合衛生管理製造過程導入の経緯である。尚、平成十三年一月、厚生労働省の設置に伴ない、厚生大臣は厚生労働大臣となったことを付け加えておかなくてはならないだろう。

対応 -3-

平成十一年七月六日、厚生省生活衛生局乳肉衛生課より以下の事務連絡として書簡が協会宛に送付された。

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事前連絡
平成11年7月6日

(社)全国乳栓容器協会御中

厚生省生活衛生局乳肉衛生課

乳等の容器としてのPETボトルの使用について

日頃より乳等に関する衛生行政について御理解、御協力を賜り誠にありがとうございます。
標記については、清涼飲料水メーカー等から要望が寄せられているところであり、今後、その承認等について具体的な検討を行うこととしています。
つきましては、検討にあたって、参考に資するため、本件に関して衛生上の観点から貴協会の意見を求めますので、検討方宜しくお願い致します。 

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協会は、厚生省からの要請を受けて、平成十一年八月三日開催の理事会において、「新容器・新素材研究検討審議会」を新設し、新容器・新素材研究検討審議会の規則、同技術委員会内規を制定して、審議会会長に阪井正光氏(東罐興業)を指名した。又、該当会員に対して「新設審議会・部会・技術委員会担当」登録を案内した。

同年九月十四日、第1回当該審議会が開催され、浅野理事長は以下の通り挨拶した。  
「厚生省よりPETボトルを、乳等の容器に利用する場合の食品衛生面及び取り扱い上の安全性に関しての問い合わせがあり、過日理事会を開催し協議の結果、当協会に『新容器・新素材研究検討審議会』を新設し、調査研究を行うことになった。乳等の容器としては新容器のため従来の協会会員だけでは対応が不十分になる惧れもあり、当審議会に新たなメンバーも加わって頂くこととなった。各会員には、ご多忙の中、負担が掛かることになると思うが幅広い調査検討を是非宜しくお願いしたい。」

また厚生省乳肉衛生課課長は以下の通り挨拶した。  「乳、乳製品にPET容器を使用することは、現在乳等省令で規制されているが、諸業界より使用検討の打診が増加しており、将来的には省令の見直しが必要になるものと考えている。又、例外申請の要請も今後出てくるものと推測している。これらの背景を考慮し、乳栓容器協会でPET容器を乳等に使用する場合、食品衛生上(容器強度、溶出成分、構造上、使用上(リキャップ等))及びリサイクル上の観点より留意すべき事項と対応策を取り纏め諸資料を厚生省に提出して欲しい。なお省令改正は一定の手順が必要であり、当面は例外承認での承認、認可となると考えているが、当該資料を行政としてどの様なチェック項目と基準を整備すべきかの判断材料として活用させて頂きたい。」

これを受け阪井新容器・新素材研究検討審議会長は以下の通り挨拶した。
「過日開催の理事会で当審議会長に選出されたが、今後各会員の協力をいただき、厚生省の要請に応じた調査検討が行えるよう、精一杯努力する所存ですのでよろしく御協力をお願いしたい。」 その後具体的な審議検討に入った。
1)当審議会運営に当たっては、円滑な運営を図る ため、小委員会と技術委員会を設置することとした。小委員会は、当審議会の具体的な方針、運営計画を立案し、必要に応じて技術委員会に調査検討を要請し、適時審議会に進捗の報告と、立案、提示を主な活動内容とした。八社と協会事務局がメンバーとして選出された。技術委員会については、先の理事会で設立、内規等が決定されており、当審議会での具体的な技術調査・研究を行う機関である。メンバーについては、各会員からの申請で登録構成される。
又、必要に応じ登録メンバー以外の方にも出席、調査協力をお願いする。小委員会は、以下の八社と協会事務局がメンバーとなった。
日本製紙・三陽パックス・吉野工業・日本テトラパック・大日本印刷・凸版印刷・東罐興業・東洋製罐及び事務局(浅野理事長・片岡顧問・青島事務局長)。
技術委員会メンバーは、会員よりの申請で登録することになった。
尚、当審議会、小委員会、及び技術委員会には、厚生省担当官に出席をお願いすることとした。
2)担当官とは以下の質疑応答があった。
@ Q:厚生省からの検討要請では、「PETボト ル」とされているが、ボトル以外の容器も考えるのか?    A:当初ボトルに限定して考えていたが、容器全般(一般樹脂、紙容器、コップ等)を視野に入れて欲しい。尚ボトルはリキャプが可能であり、使用形態、容量などについても検討対象に入れて欲しい(厚生省担当官)
A Q:食品衛生法では、「リサイクル」は含まれ ないが、リサイクルも視野に入れるべきではないか?    
   A:「リサイクル」も視野に入れて欲しい。尚、厚生省としては、衛生上の問題をクリアーにした後に、リサイクルに関連する省庁に話を持ちかける予定。  
B Q:乳、乳製品に関して、PET容器を使用 したいとの具体的要請があるのか?
   A:現時点では、例外申請は出ていないが、 各方面から問い合わせはある。尚、諸外国からの要請は現状受けていない。  
C Q:内容物は、乳、乳製品全体を対象とする のか?
   A:検討は乳、乳製品全体を視野に入れて欲 しい。尚、PET容器を乳、乳製品に使用することについては、初めてのことであり、危険を少なくするために、段階的に認可するつもりでいる。
D Q:期限はいつか?
   A:平成十二年三月を目標として欲しい。

以上を受けて、同小審議会が平成十一年九月二十一日、開催された。阪井会長、厚生省担当係長挨拶の後議事に入り以下が討議された。
1)乳等の紙容器に関する自主基準を参考にして行 く。
2)審議期間を平成十二年三月末日までとし中間報告として審議会を経て、理事会の承認を以って厚生省に提出したい。
3)ペットボトルとペット容器の問題があるが、当面はペットボトルを先行検討するが必要に応じてペット容器についても審議する。
4)適用範囲について―乳等の容器包装とするが詳細については技術委員会に付託する。   付託するについて下記の意見が出た。
@ 省令上の1群、2群を含めて検討依頼が必要。
A 現状当局に相談・打診のあるのは2群が中心である。
B 容器の形状についても検討の必要がある。
C 2群から例外承認をする理由等々
D 容器から見たときに1群・2群で賞味期限に問題がある。
5)使用形態について―ペットボトルが清涼飲料水で普及してきたので、これを乳等の容器とした時の流通形態を考慮の必要がある。チルド流通や再閉機能についても検討が必要である。    
6)容器自体の衛生面・安全面の基準設定について―溶出基準等については第一段階では乳等省令上の基準を参照とするが環境側面からの検討もその後必要となる。           
7)構造上の検討について―充填方法により検討事項が異なるのではないか。再閉機能からくるキャップの構造も検討。
8)ボトルの形状について―充填 流通形態に伴い 異なる検討が必要。
9)強度試験について―乳等省令上の基準でよいか   検 討。
10)添加剤について―無色及び着色の場合の検討。
11)PETボトル協議会との関係について―   同協議会のガイドラインとの関係を留意しつつ検討。

以上、技術委員会に付託する意見集約が出来た。これを受けて技術委員会がスタートすることになった。
同年九月二十八日、技術委員会が開催され、容器の安全,衛生性について審議を開始した。
―溶出試験に時間がかかるので最初に検討する。
―材質試験、溶出試験は、乳等省令、食品衛生法に基き進める。
―溶出試験には、環境面も含めて実施する。
―PETの触媒(アンチモン、ゲルマニウム)の材質試験、溶出試験を実施する。
―乳等省令のポリエチレンには触媒の材質試験、溶出試験の項目はない。従って、PETだけ触媒の材質試験、溶出試験の項目を加えるのは、乳等省令とのの整合性がとれないが、技術委員会としてはバックデータとして取っておいた方がよい。高温溶出もバックデータとして取っておく。
―分析機関:食品分析センター、食品衛生協会、乳業技術協会を検討する。
―試験サンプル:厚生省に協力していただく。
―キャップ:乳等省令に準ずる。

平成十一年十月十二日、厚生省担当官出席のもと、技術委員会が開催された。
冒頭梶山委員長からは以下の挨拶がありその後具体的な審議に入った。
「先般の技術委員会にて大まかなフレームワークが示されましたスケジュール的には前回の技術委員会にても報告の通り、本年十二月までに答申案を出したいと考えていますので御協力をお願い致します。」

1)機関調査結果期間は二週間から一ヶ月見ておけば大丈夫であるので十一月にはスタートさせたい。各社が持っているデータがあるので次回整理して持ち寄る。(吉野工業、凸版印刷、大日本印刷、東洋製罐)環境関連はPETボトル協議会に打診する。分析費用の処理を理事会に諮るため。総予算の見積もりを早急に欲しい。吉野工業、東洋製罐にて纏める。各社のデータと協会として取らなければならないデータを分けて見積もる。分析の項目に関して、ポリエチレンにはn―ヘキサン抽出物、キシレン抽出物の項目があり、ポリスチレンには揮発成分がある。これらをPETボトルの適用する場合に、データは取るがその解釈等については協会として統一したものが必要となる。
2)容量については技術委員会にて審議して頂く。答申案は技術委員会にて纏める清涼飲料は350cc 500cc 1000cc 1500cc 2000ccが主である。次回までに吉野工業、凸版印刷、大日本印刷、東洋製罐にて強度試験データ等を協会事務局までに提出する。さらに、紙容器の強度試験方法によるPETボトルでのデータ取り」を併せて実施する。
3)適用範囲―時間がないのでボトルにて進める。密封方法に関しても、現状の容器で検討する。併行して、容器の機能(キャッピング、形状等誤飲の問題は考慮して)早目に検討する。ボトルの次はどうなるかの問い合わせも多々ある。コップ、カップは中断しないで別途継続検討する。
4)その他―今回の技術委員会にて大まかな道筋は出来たと考える、次回は個別部会で素案作りを行いたい。個別部会は吉野工業、凸版印刷、大日本印刷、東洋製罐、日本製紙、東罐興業の六社にて進める。リサイクルについてはPETボトル協議会の答申案を見て決めることとする。

各社から頂く各社にて保有している各データ類、衛生試験項目、強度データの納期見積もり等十月二十五日まで協会事務所宛提出することとした。これ等を踏まえた技術委員会は精力的に審議をかさねた。  

又、他方では、関係当局の関係者に対して、「乳等の容器としてのPETボトルの使用に係わる製造施設の視察並びに関係者との意見交換会」を開催して、乳等の容器にPETボトルの例外申請の有ったときの参考に資するために見聞を広めた。

平成十一年十月二十五日開催の技術委員会は、各社から提出されたデータを基に、落下強度、封緘強度、圧縮、耐圧、ピンホール強度等について審議を重ねた結果、尚触媒、アンチモン、ゲルマニウムに関して内分泌撹乱物質等の分析項目が決められ、この分析試験を日本食品分析センターに依頼することになった。この分析費用については、総額で五百万円が必要となり、理事会に諮ることになり、同十一月十一日開催の理事会で審議の結果、協会より百万円の予算化がされた。残額については、PETボトル関連各社の受益者負担とすることになり、その調整には当時の関係者は大変であった。この負担額について、東洋製罐、吉野工業所は、PETボトルリサイクル推進協議会に、当協会の関係会社が全て会員となって居ることから協賛をお願いして、数次の協議の結果、(1)試験データの利用の承認(2)PETボトルのリサイクルの問題で清涼飲料用との区別の明確化(3)厚生科学研究に提出するデータ使用の承認以上を条件として同協議会が全額約四百万円強を事業協力費として協賛して頂くこととなった。  

これらの経緯を経て平成十二年二月に「乳等のPETボトルに関する自主基準」が制定され、同年三月八日に浅野理事長名で当時の厚生省の担当課に提出されているが、これに至るまでは関連する特に技術関係者の方々の大変なご苦労があったわけである。そしてこれが平成十四年十二月の乳飲料等の二群、平成十九年十月の一群の容器包装に関する乳等省令の改正に繋がっていくわけである。これと期を一にして協会も平成十九年十月には乳及びクリームのPETボトルに関する自主基準を制定している。

この活動のなかでこのPETボトルに関係している未加入の各社から協会加入の動きが活発になり、東洋製罐を始め、吉野工業所、石塚硝子、大和製罐、北海製罐、東海アルミ、昭和アルミ、東洋アルミ、四国化工機等が順次加入し協会は名実共に牛乳関連の器具・容器包装を網羅することとなった。 (次号へ続く)


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