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平成20年度第1回技術セミナー

10月3日(金)午後3時から乳業会館会議室で50名を超える会員が参加して、本年度第1回乳機器部会技術セミナーが開催されました。鈴木会長のご挨拶と講師のご紹介のあと酪農学園大学名誉教授の安藤功一先生より「食糧・酪農と乳業事情」のテーマで講演が行われました。
安藤先生のご熱心な講義のあと安藤先生も含めて30名近い会員が乳業会館近くで行われた懇親会にも参加、交流を深めました。本記事は先生のご許可を頂いて行った講演録音から事務局がその一部をまとめたものです。(文責:福田)



第一部

世界的に人口は膨張しており現在68億人を超えているといわれています。そのうち食糧不足に悩む飢餓人口8億人がアフリカ中心に存在しておりますが、世界人口はこのままでいくと2050年には92億人に到達すると予測されています。

先進国の中で日本の食糧自給率40%は最低であり、例えば第2次世界大戦中の40%前後だった自給率から現在は70%を超えるに至っているイギリスなど比較するとその低さが際だったものだということがわかります。

ではこの低い食料自給率に起因する輸入されている食糧の規模を海外における作付面積という考え方で換算してみると、国内作付面積の約3倍となります。またこれらの生産に必要な総水量を「仮想水」という定義を使って換算してみるとなんと1000億トンと超える膨大な量になります。もっと具体的な表現をすると、日本は、昨年、一昨年と干ばつ被害が深刻なオーストラリアからは 256億トンを輸入し使用していることになります。もう一つ例を挙げれば皆様がもしかしたら、よくお食べになる牛丼一つを例にとるとドラム缶10本分の仮想水を使用していることになるわけです。

国連による世界の水使用量の予測によれば、我々が今までと同じ水の使い方をしていると2050年には地球全体で現在の160−190%の水が必要と言うことになるとされています。地球全体で使用できる淡水は地球全体の水のなかで僅か3%であり、重要な淡水の供給元の氷河や氷冠は地球温暖化の影響で確実の総量を減らしつつあります。つまり水資源は限られてものであり、これに加えて水資源の分配は一部の地域では、残念ながら平等に行われていないということも肝に銘じていなければいけません。

一方日本における都道府県別のカロリーベースの食糧自給率をみると北海道と東北の一部を除くと自給率はマイナスで東京都に至ってはわずか1%という結果です。

現在の世界的食糧需給に関連することをピックアップさせて頂くと
―食糧輸出国の天災被害
―遺伝子組み換え技術をもってしても20億トンを超えたことのない世界の穀物生産量
―人間の消費ではなくその消費の40%が家畜飼料として使用されている生産穀物 これに加えてバイオ燃料の原料として使用されるもの増加
―為替レートの影響と輸送費の高騰 というようなことになるのでしょうか。

これに加えて日本農業は増やせない農地、困難な水資源の確保、上がらない単収という困難な問題を抱えていることを認識しなくてはならないと思います。

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第二部

第一部を踏まえて牛乳・乳製品のお話をしていきたいと思います。
日本の酪農概要を述べれば、少し古い数字ですが、乳用牛頭数は121万頭、牛乳生産量は838万トン、1頭当たりの牛乳生産量は7185kg(1996年)とされておりますが、日本の1頭当たりの生産量は既にこの時点で世界第一位のアメリカを抜き7500kgに達しております。


注目すべきはインドと中国ですが、中国は昨今の大きく報道されている問題の影響で、今後しばらくは今までのような伸びはないかもしれません。主要国の飲用牛乳の消費量ですが、残念ながら大きな伸びを示している国はありません。

バターについても日本では最近のバター不足の問題はありましたが、長期的にみるとロシアの若干の伸び以外はあまり大きな伸びは期待できません。

一方でこれらと比較してチーズの消費量は例えばアジアの国々のように食習慣の変化に伴って、増加する国が多く、受給関係から価格の上昇も今後見られるのではないかと思います。


日本の牛乳乳製品の消費量ですがマクロ的にはそれほど伸びず現状維持と思われ、国内生産の状況も同様だと思われます。ただ生産量の「調整」を行うとその復帰には確実に一定の期間が必要になることを理解しなくてはいけないと思います。牛乳は「生きもの」ですから。不足しているから明日から生産量増やしてくれというわけには参りません。農水省は目標生産量を1000万トンとしておりますが、達成できるとしても、現在のままの生産体制ではでは乳価はかなり上昇すると思われます。

現在乳価には製品によって異なるという体系になっております。例えば原乳生産地である北海道の例をあげれば、北海道内飲用向け、北海道外移送飲用向け、加工向け、チーズ向けなどの用途と乳脂肪分、無脂乳固形分の%との組み合わせとなっております。

日本の農用地は504万haしかなく酪農に振り向ける用地はそれ程あるとは思えません。私の試算では農水尚1000万トンの目標を達成するために約1.3倍の乳牛頭数で経営面積一戸あたり116ha、飼育頭数は130頭となりその実現は現状ではかなりタフな目標と言えるのではないでしょうか。

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第三部

乳用牛の生産サイクル、成長による乳成分の変化、「初乳」の免疫特製物質とその利用製品、乳牛の種類、胃の構造と微生物、生産牛乳の管理、飼料等についてご専門の見地から大変興味深いお話を頂き先生の持論である日本における山地酪農の可能性や乳牛の種類まで先生の熱の入った講演は続き、最後に「食後に飲む1杯の牛乳は食事の栄養バランスを整え、就寝前の一杯の牛乳は安眠をもたらす」の言葉で講演を締めくくられました。
残念ながらページ数の関係で詳細は割愛させて頂きます。

 

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